ふるさと納税の経費5割ルールは廃止された?寄附金活用可能額に変わった中身
- 告示の「募集費用は寄附金の5割以下」は、2026年10月1日に削除されました。ただ、基準が緩んだのではなく、寄附金から募集費用を引いた「寄附金活用可能額」が一定割合以上という基準に置きかわっています。
- その割合は、2026年指定の52.5%から段階的に上がり、2029年指定以降は60%です。募集費用の上限にすると、47.5%から40%へ下がります。
- 寄附する人の控除の式や、自己負担2,000円は変わりません。変わるのは、自治体の費用の使い方です。
旧基準と新基準を並べる
次の表は、2026年9月30日までの基準と、10月1日からの基準を比べたものです。
| 項目 | 2026年9月30日まで | 2026年10月1日から |
|---|---|---|
| 基準の形 | 募集費用の合計が、寄附金の合計の100分の50以下(総務省告示) | 寄附金の合計から募集費用を引いた寄附金活用可能額が、寄附金の合計の一定割合以上(地方税法) |
| 数字 | 募集費用 50%以下 | 活用可能額 52.5%以上(募集費用は47.5%以下)。毎年上がる |
| 費用の数え方 | 支払った日で数える方法も認められていた | 寄附金を受け取った日で数える方法に統一 |
| 使い道の公表 | この基準には含まれていない | 寄附金活用可能額の使い道を、自治体のウェブサイトで公表する |
使い道の公表は、自治体が決算を議会の認定に付したあと、遅滞なくウェブサイトに載せる決まりです。確かめ方は使い道の公表の記事で説明しています。
割合が上がっていく予定
割合は、新しい指定期間が始まるたびに上がります。指定期間は、10月1日から翌年9月30日までの1年間です。
| 指定期間 | 寄附金活用可能額 | 募集費用の上限 |
|---|---|---|
| 2026年10月1日〜2027年9月30日(令和8年指定) | 52.5%以上 | 47.5%以下 |
| 2027年10月1日〜2028年9月30日(令和9年指定) | 55%以上 | 45%以下 |
| 2028年10月1日〜2029年9月30日(令和10年指定) | 57.5%以上 | 42.5%以下 |
| 2029年10月1日から(令和11年指定)以降 | 60%以上 | 40%以下 |
数字の例として、1年間に受け取る寄附の合計が1億円の自治体なら、2026年指定では活用可能額が5,250万円以上、募集費用は4,750万円以下に収める計算です。この基準は期間の合計で見るので、寄附1件ごとに分けて見る決まりはありません。個々の返礼品ごとに見る3割の基準とは、ここが違います。
「廃止」といっても、上限がなくなったわけではありません。2026年指定では、募集費用の上限が50%から47.5%に下がり、それまでより厳しくなっています。
募集費用に入るもの
総務省のQ&Aによると、募集を行ったことや寄附金を受け取ったことで発生したと考えられる費用は、広告費に限らずすべて募集費用になります。返礼品の調達にかかる費用と送付にかかる費用も、総務省の資料では募集費用の内訳に入っています。このほかにQ&Aが例に挙げるのは、次の費用です。
- 寄附の受領証明書を発行する事務の費用
- ワンストップ特例の申請書を受け付ける事務の費用(事務を電子化する費用を含む)
- ふるさと納税以外の業務も兼ねる職員の人件費のうち、ふるさと納税にあたる分
- ポータルサイトの運営事業者に払う費用
- ふるさと納税の事務を委託する事業者に払う費用
令和6年度の全国の実績では、寄附受入額1兆2,728億円のうち、返礼品が25.2%、送付・広報・決済が8.0%、事務費等が13.2%で、募集費用は合計46.4%でした。残りの53.6%が、地方団体の財源として残った割合です。ポータルサイト事業者への支払いは1,656億円(受入額の13%)で、募集費用の一部です。
全国の合計では、令和6年度の53.6%がすでに52.5%を上回っています。ただ、基準は自治体ごとに見ます。費用が重い自治体ほど、ポータルへの支払いなどの見直しが必要になります。
5割の基準で指定取消しになった例
2026年3月24日の総務省の資料によると、募集費用の割合の違反で2025年9月30日に指定取消しが施行された自治体は3団体で、確認された募集費用の割合は59.8%、56.4%、56.1%でした。
新しい基準でも、活用可能額が基準を下回った自治体は、指定取消しの対象になりえます。総務省は2026年9月25日の通知で、2026年指定の期間について実績調査を予定していると伝えています。
寄附する人に関わること
寄附する人の手続きや控除の式は変わりません。控除の式と上限額は上限額の計算式で確かめられます。
変わるのは、自治体の側の費用の組み方です。総務省は2026年4月1日の通知で、自治体にポータルサイトなど外部の事業者に払う手数料を見直すよう求めています。費用を組み直した結果、返礼品の内容量や必要寄附金額を見直す自治体もあります。例は返礼品の掲載終了の記事にあります。ポータルの手数料そのものがどうなるかは、ポータルの手数料の記事で扱います。
2026年10月の改正の全体は、日付つきの一覧で見られます。
自分がワンストップ特例と確定申告のどちらになるかは、判定の道具で確かめられます。
ワンストップか確定申告か判定する確認日:2026年11月6日。出典:総務省 通知「ふるさと納税制度の適正な運用について」(総税市第34号 令和8年4月1日)と添付の地方税法等の改正法・告示の新旧対照、総務省「ふるさと納税について(指定基準に係る告示改正)」(令和8年3月24日)、総務省「ふるさと納税に係る指定制度の運用についてのQ&A」(総税市第33号 令和8年4月1日)別紙2 問14〜問17、総務省 通知「ふるさと納税制度の適正な運用について」(総税市第108号 令和8年9月25日)3。この記事は一般的な制度の説明で、個別の税額や申告のしかたの判断ではありません。ご自分の場合は、税務署やお住まいの市区町村に確かめてください。最新の情報は公式のページで確かめてください。