ワンストップ特例で所得税の還付がないのはなぜ?
- ワンストップ特例では、所得税の還付はありません。所得税の控除分も含めて、翌年度の住民税から差し引かれます。
- 所得税の分は、住民税の「申告特例控除額」として引かれます。上限の範囲内なら、控除の合計は確定申告と同じです。
- 上限を超えると、ワンストップのほうが自己負担は重くなります。
還付がない理由
ワンストップ特例は確定申告をしない人のための仕組みで、税務署に所得税の控除を申告する手続きがありません。その代わり、所得税で引かれるはずだった分を、住民税の控除に足して返します。
総務省は、ワンストップ特例が使われると、所得税の控除分も含めて翌年度の住民税から差し引かれると説明しています。名古屋市は、この住民税に足される分を「申告特例控除額」と呼び、「所得税および復興特別所得税における控除分に相当する額」と案内しています。額は、住民税の特例控除額に、所得税率に応じた割合(所得税率10%なら79.79分の10.21)をかけて決まります。
「所得税の還付がないから」と確定申告を出すと、出していたワンストップ特例は無効になります。控除は確定申告のほうで受ける形になるので、寄附をすべて申告書に書く必要があります。くわしくはワンストップを出したのに確定申告をした場合に書きました。
確定申告との違い
次の表は、同じ寄附をしたときに、控除がどこで、どの税から入るかを並べたものです。
| 確定申告 | ワンストップ特例 | |
|---|---|---|
| 所得税 | 控除される(還付または納める税が減る) | 変わらない |
| 住民税 | 基本分と特例分が引かれる | 基本分と特例分に、申告特例控除額が足されて引かれる |
| 手続き | 税務署に申告する | 寄附先の自治体に申請書を出す |
| お金が動く時期 | 所得税は申告のあと、住民税は翌年度 | すべて翌年度の住民税 |
所得税の源泉徴収は、ワンストップ特例では変わりません。控除の分は、すべて住民税の通知書の額に出ます。
仮の数字で比べる
次は2通りの寄附額で比べた例です。住民税の所得割額を20万円、所得税率を10%と仮定していて、実在の人の税額ではありません。特例分の限度は、所得割額の20%の4万円です。
| 寄附額 | 方法 | 所得税の控除 | 住民税の控除 | 自己負担 |
|---|---|---|---|---|
| 3万円 | 確定申告 | 約2,859円 | 約25,141円 | 2,000円 |
| 3万円 | ワンストップ | 0円 | 28,000円 | 2,000円 |
| 7万円 | 確定申告 | 約6,943円 | 46,800円 | 約16,257円 |
| 7万円 | ワンストップ | 0円 | 約51,918円 | 約18,082円 |
3万円は、特例分が限度の4万円に届かない例です。所得税の分が住民税に移るだけで、控除の合計は28,000円と同じになり、自己負担はどちらも2,000円です。
7万円は、特例分が限度の4万円を超える例です。確定申告なら、所得税の控除は寄附額に応じて入ります。ワンストップの申告特例控除額は、限度で止まった特例控除額に割合をかけて決まります。そのため所得税の控除分より小さくなり、自己負担が約1,825円重くなります。名古屋市が案内している「申告特例控除額が、所得税における控除分よりも少なくなることがある」場合にあたります。
計算は、基本分が(寄附額-2,000円)×10%、特例分が(寄附額-2,000円)×79.79%(限度は4万円)、所得税が(寄附額-2,000円)×10%×1.021です。ワンストップの申告特例控除額は、特例分に10.21/79.79をかけます。端数の処理は自治体で違うため、実際の額とは数円ずれることがあります。上限の式は上限額の計算式で説明しています。
上限の目安の近くまで寄附する人ほど、ワンストップと確定申告の差が出ます。少なめにする考え方は上限を超えたときにあります。
いつ、どこで減るか
ワンストップ特例では、寄附した翌年度の住民税が減ります。給与から天引きされる住民税は、相模原市の例で毎年6月から翌年5月までの12回です。2026年の寄附なら、2027年6月分からの住民税が目安です。
- 住民税の決定通知書の税額控除にかかわる欄で、寄附の控除が入っているかを確かめる
- 入っていない、または額が合わないときは、お住まいの市区町村の税務窓口に聞く
通知書の見方は住民税決定通知書でふるさと納税を確認する場所にまとめています。
よくある質問
源泉徴収票の所得税の額は、寄附で減りますか。
ワンストップ特例では減りません。申告をしないので、所得税の控除そのものがないためです。なお、源泉徴収票は勤め先の年末調整の結果です。確定申告をした場合も源泉徴収票の額は変わらず、控除の分は申告で還付される(または納める税が減る)形になります。
ワンストップの申請書は、どこに出しますか。
寄附先の自治体です。期限は2027年1月10日(日)で、必着の自治体が多いです。分からないときは、必着のつもりで送ってください。くわしくは1月10日に間に合わないときを見てください。
自分がワンストップ特例と確定申告のどちらになるかは、判定の道具で確かめられます。
ワンストップか確定申告か判定する確認日:2026年11月6日。出典:総務省「ふるさと納税の流れ」、総務省「税金の控除について」、名古屋市「寄附金税額控除」、国税庁 タックスアンサー No.1155「ふるさと納税(寄附金控除)」、相模原市「個人住民税における特別徴収について」。この記事は一般的な制度の説明で、個別の税額や申告のしかたの判断ではありません。ご自分の場合は、税務署やお住まいの市区町村に確かめてください。最新の情報は公式のページで確かめてください。