住宅ローン控除を受けている人のふるさと納税の上限
- 住宅ローン控除は、所得税から引ききれなかった分が翌年度の住民税からも引かれます。そのため、住民税の通知書の所得割額が小さく出ていることがあります。
- 上限の元にするのは、住宅ローン控除などの税額控除を引く前の所得割額です。通知書の額の20%をそのまま上限と見ると、小さすぎる場合があります。
- 住宅ローン控除で住民税が小さくなっている人は、上限の式どおりには引ききれないことがあります。自治体も注意書きを出しています。最後は住んでいる市区町村に確かめてください。
住宅ローン控除が住民税から引かれる仕組み
住宅ローン控除は、まず所得税から引かれます。引ききれなかった分があれば、翌年度の住民税の所得割から、次の3つのうち最も小さい額が引かれます(長野県諏訪市の案内)。
- 所得税で控除しきれなかった額
- 所得税の課税総所得金額等に、5%または7%をかけた額(所得税の基礎控除の引き上げにともない、令和8年度から式の一部が変わりました)
- 市・県民税の上限額(5%なら97,500円、7%なら136,500円)
入居した時期によって、率と上限が決まります。多くの市の案内では、次のとおりです。
| 居住を始めた時期 | 率 | 住民税側の上限 |
|---|---|---|
| 2014年4月〜2021年12月 | 7%(消費税率8%または10%の場合。それ以外は5%) | 136,500円(5%なら97,500円) |
| 2022年1月〜2025年12月 | 5%(2022年中の入居で一定の要件を満たす場合は7%) | 97,500円(7%なら136,500円) |
| 2026年以降 | 国税庁・市区町村の案内で確かめてください | 同左 |
2026年以降に入居した人の住民税側の率と上限は、確かめた市の案内には載っていなかったので、ここでは数字を書きません。
引かれるのは、3つの額のうちいちばん小さい額だけです。たとえば、所得税で引ききれなかった額が4万円なら、引かれるのは4万円です。20万円あっても、上限が97,500円なら、引かれるのは97,500円までです(上の2つ目の式は省いた例です)。
通知書の所得割額が小さく出る理由
ふるさと納税の特例分の上限は「住民税所得割額の20%」です(式は上限額の計算式で説明しています)。この「所得割額」が、通知書の数字と同じとは限りません。
| 所得割額の考え方 | 自治体の案内 |
|---|---|
| 上限の元にする額 | 調整控除を引いた後の額。配当控除などの税額控除がある場合は、それを差し引く前の額(土岐市) |
| 通知書に書かれる額 | 調整控除以外の税額控除がある場合は、枠内の所得割額がその分減らして書かれる。記載額の20%が上限にならない場合がある(横浜市) |
住宅ローン控除は税額控除の一つなので、控除を受けている人の通知書では、所得割額が控除後の小さい額になっている可能性があります。その額に0.2をかけると、本来の上限より小さい目安になります。
通知書の欄の書き方は、市区町村で違います。横浜市の注意書きを、すべての市区町村にそのまま当てはめないでください。お住まいの市区町村の案内で、どの額が書かれているかを確かめます。
所得税と住民税のあいだで起きること
ふるさと納税の所得税分は「所得控除」です。所得控除は、住宅ローン控除(税額控除)より先に、所得税の元になる所得を減らします。
住宅ローン控除の額が所得税より大きく、もともと引ききれない分がある人では、ふるさと納税で所得税が減ると、「所得税で控除しきれなかった額」がその分だけ増えます。増えた分は上の3つの式に従って住民税側へ回りますが、住民税側にも上限があり、こえた分は住民税からも引かれません(3つの式から考えた説明です)。
ワンストップ特例を使う場合は違います。ワンストップ特例では、所得税分も含めて、控除のすべてが翌年度の住民税から引かれます(所得税の還付はありません)。所得税の側は動かないので、住宅ローン控除の所得税側の計算は変わりません。
| 状況 | ふるさと納税の控除が入る先 |
|---|---|
| 住宅ローン控除の1年目(確定申告) | 所得税の所得控除と住民税。住宅ローン控除も同じ申告書で受ける |
| 2年目以降の会社員で、ワンストップ特例を使う | すべて翌年度の住民税 |
1年目はワンストップ特例が使えません。同じ申告書に書く手順は住宅ローン控除の1年目とふるさと納税を一緒に申告するにはにあります。
どの書類のどの欄を見るか
自分の状況は、次の書類で確かめます。
| 書類 | 見る欄 | わかること |
|---|---|---|
| 源泉徴収票 | 「住宅借入金等特別控除可能額」「居住開始年月日」 | 住宅ローン控除が反映されているか(諏訪市の案内にある欄の名前) |
| 住民税の通知書 | 所得割額(枠内の額)、税額控除の欄 | 控除を引いた後の額か、引く前の額か |
| 市区町村の案内ページ | ふるさと納税の上限額の計算 | 通知書のどの額を元にすればよいか |
特例分の上限を超える寄附をすると、自己負担が2,000円より増えます。ぎりぎりまで寄附する前に、上限より少なめにする考え方も見てください。
目安は各ポータルのシミュレーションで出せますが、最後は源泉徴収票と住民税の通知書で確かめてください。
よくある質問
住宅ローン控除を受けていると、ふるさと納税はできませんか。
できます。2つの控除は併用できます。ただし、住宅ローン控除で住民税が小さくなっている人は、上限の式どおりの控除を受けられないことがあります(土岐市の案内)。
通知書の所得割額がゼロなら、どうなりますか。
住民税の所得割がゼロの人には、住民税から引かれる分がありません。ふるさと納税の控除も、その分は入りません。東大和市は、住宅ローン控除の適用前の所得税額が0円の場合や、住民税の所得割が0円の人は、住民税に及ぶ住宅ローン控除はないと案内しています。
上限の金額を教えてもらえますか。
個別の金額はお答えできません。税額のご相談は、税務署か市区町村の窓口へお願いします。
自分がワンストップ特例と確定申告のどちらになるかは、判定の道具で確かめられます。
ワンストップか確定申告か判定する確認日:2026年11月5日。出典:諏訪市「市・県民税の住宅借入金等特別税額控除(住宅ローン控除)」、宇都宮市「住宅借入金等特別税額控除(住宅ローン控除)」、東大和市「市民税・都民税からの住宅借入金等特別税額控除」、土岐市「寄附金控除の上限額の計算」、横浜市「寄附金税額控除(ふるさと納税)について」、総務省「ふるさと納税の流れ」、国税庁 タックスアンサー No.1155「ふるさと納税(寄附金控除)」。この記事は一般的な制度の説明で、個別の税額や申告のしかたの判断ではありません。ご自分の場合は、税務署やお住まいの市区町村に確かめてください。最新の情報は公式のページで確かめてください。