企業版ふるさと納税とは?個人のふるさと納税との違い
- 企業版ふるさと納税(正式には地方創生応援税制)は、企業が自治体の地方創生の事業に寄附すると、法人関係税が軽くなる制度です。個人の所得税・住民税の控除とは別の仕組みです。
- 個人版と大きく違うのは、寄附への見返りが禁止されていること、10万円以上の寄附が対象なこと、本社のある自治体には使えないことです。
- 個人の名前で寄附した分は企業版にはならず、通常のふるさと納税になります。
個人版との違い
次の表は、個人のふるさと納税と企業版を、項目ごとに比べたものです。
| 項目 | 個人のふるさと納税 | 企業版ふるさと納税 |
|---|---|---|
| 寄附する人 | 個人 | 企業(法人) |
| 軽くなる税 | 所得税・住民税 | 法人住民税・法人事業税・法人税 |
| 軽くなる程度 | 寄附額から2,000円を引いた額が、上限の範囲で控除される | 損金算入の約3割と税額控除の最大6割を合わせて、最大約9割。企業の負担は約1割 |
| 寄附先 | 総務大臣が指定した自治体 | 国が地域再生計画を認定した自治体の事業 |
| 返礼品 | あり(寄附額の3割以下、地場産品) | 経済的な見返りは禁止 |
| 寄附の下限 | 2,000円を超える部分が控除の対象 | 1回10万円以上 |
| 寄附できない先 | 指定されていない自治体 | 本社がある自治体。東京都と、三大都市圏の既成市街地等にある不交付団体の市区町村 |
| 控除の受け方 | ワンストップ特例か確定申告 | 法人関係税の税額控除(手続きの細部は、自治体や税理士に確かめる) |
| 所管 | 総務省 | 内閣府 |
個人版の控除の式は上限額の計算式のページに、2026年10月以降のルールは2026年10月の改正のまとめにあります。
税の軽くなり方
内閣府の資料では、税額控除の内訳を次のように示しています。控除額には、それぞれの税の額に応じた上限があります。
| 税 | 控除の割合 | 上限 |
|---|---|---|
| 法人住民税 | 寄附額の4割 | 法人住民税法人税割額の20% |
| 法人税 | 法人住民税で4割に達しないときの残り(寄附額の1割まで) | 法人税額の5% |
| 法人事業税 | 寄附額の2割 | 法人事業税額の20% |
内閣府は例として、1,000万円を寄附すると法人関係税が最大で約900万円軽くなると示しています。実際にいくら軽くなるかは、その企業が納める税の額によって変わります。
「最大約9割」は、税額控除の上限に届くだけの税を納めている企業の話です。納める税が少ないと、控除は上限まで使えません。個別の判断は、顧問の税理士や税務署に確かめてください。
寄附できない場合と注意点
企業版には、個人版にはない制限があります。
- 寄附の見返りは禁止:寄附した企業に、経済的な利益を渡すことはできません。自治体のサイトや広報誌で企業名を紹介することや、公正な手続きを経た契約は問題ないとされています。
- 本社のある自治体は対象外:本社がある自治体に寄附しても、この制度は使えません。
- 寄附額は事業費の範囲内:自治体の事業にかかる費用を超える寄附はできません。
- 期限:税額控除の特例は、令和7年度の税制改正で3年延長され、令和9年度(2027年度)までです。
企業が寄附するまでの流れ
企業が寄附できるのは、自治体が国の認定を受けた事業です。内閣府の資料の順は次のとおりです。
- 自治体が地方版総合戦略を作る
- 自治体が、その戦略をもとに地域再生計画を作る
- 国(内閣府)が計画を認定する
- 企業が、認定された事業に寄附する
- 企業が、法人関係税の税額控除を受ける
企業の人材を自治体などに派遣し、その人件費にあたる額を合わせて寄附する「人材派遣型」もあります。2026年4月1日時点で、計画を作った自治体は1,613団体、令和6年度の寄附額は631.4億円、寄附した企業は8,464社と内閣府が公表しています。個人版の令和6年度の受入額は1兆2,728億円なので、規模は大きく違います。
寄附したい事業が決まっているときは、その自治体の担当部署に「地域再生計画の認定を受けているか」を先に聞きます。内閣府のページに、認定された計画の一覧があります。
よくある質問
会社の社長が個人でふるさと納税をしたら、企業版になりますか?
なりません。企業版は法人が寄附する制度で、法人関係税の控除です。個人の名義で寄附した分は、個人のふるさと納税として、所得税・住民税の控除の対象になります。
企業版でも返礼品はもらえますか?
もらえません。内閣府は、寄附企業への経済的な見返りを禁止しています。
個人のふるさと納税について、ワンストップ特例と確定申告のどちらになるかは、判定の道具で確かめられます。
ワンストップか確定申告か判定する確認日:2026年11月6日。出典:内閣府 地方創生推進事務局「企業版ふるさと納税ポータルサイト」、内閣府「企業版ふるさと納税 活用実績」(令和8年4月1日時点)、内閣府「企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)について」令和7年2月、内閣府「地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の延長」、総務省「ふるさと納税について(指定基準に係る告示改正)」令和8年3月24日。この記事は一般的な制度の説明で、個別の税額や申告のしかたの判断ではありません。ご自分の場合は、税務署やお住まいの市区町村に確かめてください。最新の情報は公式のページで確かめてください。